2021.09.15 健康経営コラム

【健康経営】定期健康診断の受診率をアップさせるには

社員の皆様は、定期健康診断をしっかり受診できていますか?

従業員の健康を確保するためにも、定期健診受診率は100%を目指し取り組んでいきたいところです。

一方、企業の規模が小さいほど、実施率・受診率ともに低いことがわかっています。
(平成24年労働者健康状況調査より)

事業所の規模が小さいほど定期健康診断の実施率・受診率は低い

上記調査によると、500人以上の規模の会社では定期健康診断実施率が100%であるものの、規模が小さくなるにつれ実施率・受診率は下がり、30人未満の会社では実施率は87.8%となっています。

定期健診を実施しない理由として、

・健康診断を実施する日程や時間がとれない(とりにくい)(43.4%)
・健康診断を実施する 費用がない(費用が高額である)(34.6%)
・健康診断を実施する適当な健診機関や医療機関がない(見つからない)(14.3%)

が上位にあがっています。

定期健康診断の受診率を向上させるには

健康診断は法律上の実施義務にとどまらず、会社として何よりも大きな財産である人の健康を確保するため投資として必要なものと考えられています。

定期健診の受診率を上げるために、社内で様々な取り組みを行い、受診率をアップしていきましょう。

①健康診断の重要性を周知する

まずは健康診断の必要性・重要性を従業員に理解してもらうことが大切です。

病気の予防や健康課題を見つけ出し改善につなげること、いつまでも長く元気でイキイキと過ごせる体を維持するためにも健康診断は非常に重要です。

会社から情報発信を行い、健診に関するポスターやメールでのお知らせ、また産業医の講話や従業員向け研修を通して従業員にメッセージを発信していきましょう。

②健康診断の年間実施計画を立てる

事業の年間計画を考慮して、繁忙期や会社行事を避けて健康診断を計画しましょう。

会社側で受診可能期間を限定し、受診勧奨の連絡を集中して行う工夫をすると良いでしょう。

③健診受診の調整を個人・職場単位で行う

定期健康診断の受診は労働時間として取り扱う必要があるため、受診には、業務の調整や職場の理解が必要です。

個人で調整ができる場合と、職場として調整が必要な場合がありますが、職場や個人単位での業務調整を行う工夫をしていきましょう。

例えば、訪問バス健診や施設型健診は、交代で受診できるよう業務調整を行い、日程・時間の確保をすることが大切です。

④健診費用は、各種助成の利用・協会けんぽや健康保険組合と連携

健診費用の捻出が難しい場合は、労働安全衛生に関する助成を利用していきましょう。

  ・厚生労働省のキャリアップ助成金健康診断制度コース
  ・あんしん財団の人間ドッグ・定期健康診断助成金制度
  ・労働者健康安全機構の産業保健関係助成金制度
  ・その他、地方自治体などによる定期健康診断補助金
  ・協会けんぽなどの健康保険組合と連携協力する(補助金など)

⑤健診機関や医療機関選びは、優良機関リストを活用

大手企業など社内に健診施設がある企業を除き、一般的に、健康診断は社外の健診機関や医療機関に委託して実施します。

選定が難しい場合は、
  
  ・全国労働衛生団体連合会や、日本人間ドッグ学会、日本総合健診医学会などが認定する優良機関のリストを活用
  ・地域産業保健センターへ相談
などを活用してみましょう。

会社が近い、料金が安いだけで選ぶのではなく、日程や場所の調整、検査可能項目や、検査の精度・安全性を管理している機関を選びましょう。

また、所見があった場合には、

  ・再検査・精密検査や治療を受ける
  ・保健指導を受ける
  ・医師から意見を聴取する(就業可否判定や就業上の措置の意見)
といった事後対応も委託できる機関を選ぶと良いですね。

⑥未受診者への管理監督者や人事担当者からの受診勧告

仕事が忙しくて時間が作れず受診しない、予定していた日程を忘れていて受診ができなかったという場合もあります。

未受診者には期間内に受診できるよう、管理監督者や人事担当者からの受診勧告を行い、スムーズに受診に繋げていきましょう。

健康を害してしまえば、仕事ははかどらず、場合によっては欠勤という事にも繋がります。

社員一人ひとりの労働力の影響が大きい中小規模企業にとって、一人でも欠けてしまえば大きな損失となります。

小さな異変を早期に発見するために、会社全体で健康診断受診に取り組むことが大切です。

まずは出来ることから取組んでいきましょう。